けいおん!!

この記事は書かなければならない気がした。例え数人にしか読まれなかったとしても、自分の気持ちに整理をつけるために。

 

まずは、京都アニメーションへの放火について、被害にあった方には心よりのお見舞いとお悔やみを申し上げます。33人もの方が亡くなった。内一人は性別不明なほどに遺体の損傷が激しいかったようだ。17人は重症で入院。本当に、本当に、心が痛い。こんな大学にいるから、焼け死ぬことの辛さは多少は理解しているつもりだ。これ以上被害者が増えないように、自分には祈ることしかできない。

 

京都アニメーション(以下京アニ)の作品の中で、自分が1番思い入れが強いのが、『けいおん!!』と言う作品だ。女子高生5人が「放課後ティータイム」というバンドを結成し、学校祭、町内会、しいてはロンドンでライブをするお話。かきふらい氏が原作を手がけ、アニメは2期まで、さらに映画化もされた。

自分が様々なアニメにハマるきっかけになった作品。初めてアニメで泣いた作品。自分に理想の学校生活を教えてくれた作品。自分がギターを始めるきっかけになった作品。

ゴールデンウィークけいおんのモデルになった「旧豊郷小学校」にも行ってきた。地元住民、しいてはファンの想いが詰まっていたいろんな人に愛されている作品なんだと実感した。

 

けいおんの他にも、京アニは沢山の素敵な作品を世に送り出してきた。『涼宮ハルヒの憂鬱』『CLANNAD』『響け!ユーフォニアム』…本当に、素敵な作品たちなんだ。自分にとっての『けいおん!』のように、たくさんの人にとっての思い出の作品があるんだ。京アニは、人の心に住み続ける、愛される作品を沢山作ってくれたんだ。

 

今回の放火事件。犯人は主に二つの傷跡をつけたと思う。一つは、純粋に人的・物的被害。社員160人中、死者33名、重傷者17名。放火事件、いや殺人事件としても甚大な被害だし、会社としてもその被害は甚大だろう。被害者、かつその近親者の気持ちは、自分には図るべくもない。さぞ無念だっただろう。アニメを作る、仕事を全うした結末が焼死だなんで、遣る瀬無さが募る。

数々の資料も焼け焦げたと、ニュースで拝見した。会社として再起も絶望的かもしれない。日本が誇るアニメーション会社が、こんな形で危機に瀕するとは誰も想像していなかった。

 

そして二つ目の被害は、作品への傷だ。今後多くの人間が京アニの作品を観る際、今までのように純粋な気持ちで観ることはほぼ不可能だろう。きっと、気持ちのどこかで今回の被害者がちらつくに違いない。京アニが今後持ち直し、素晴らしい作品を提供したとしても、僕たち視聴者の目にはフィルターがかかる。それは過去作品についても同様だろう。自分は今、けいおんを観ながらこの記事を書いているが、画面を見る目は確実に今までとは違っている。純粋なはずの登場人物たちに、作品とは無関係な、憐れみ、同情、可哀想、そんな目を向けてしまっている。これは作品への、芸術への冒涜だ。

会社とか声優の不祥事なら、まだ割り切れる。そこに作品に罪はない。人を侮蔑したとしても、作品は侮蔑しない。けれど、今回の件を作品と切り離すには、あまりに衝撃が大きすぎる。作品にどうしても、同情的な目を向けてしまう。けれどそんな目を向けていては、その作品を手がけたであろう今回の被害者も浮かばれない。わかってる。僕達に同情されたくて、アニメを作ったわけではないんだ。僕達を楽しませたくて、アニメを作ったんだ。

わかっていても、頭がそれを納得しない。加害者は、数々の作品の根本を、ぐちゃぐちゃにした。

 

 

京都アニメーションの関係者皆さんは、まずしっかり休んでほしい。生き延びたことに後ろめたさを感じず、休んでほしい。あなたたちは何も悪くない。

事件の背景はまだわからない。けれど、どんな言い訳があるにせよ、加害者は許せないことをした。

自分に何が出来るかはわからない。けれど、自分に思い出をくれた恩返しを、何かの形でしたいと思う。まずは出来る限り冷静に、情報を待つ。

そして祈ろう。被害が、これ以上大きくならないように。

 

合掌